茨城県材料構造解析装置(iMATERIA)

中性子回折により、材料・物質の構造を探る

 粉末中性子回折の可能性を追求し、先進的な解析手法の検討を通じて、中性子回折技術の発展に貢献する。さらに、中性子回折を始めとする量子ビームを利用した、地球環境に優しい低環境負荷材料の研究を通して、社会への貢献を行う。

茨城県 BL開発研究部門[材料領域]が提供する価値

 中性子回折は、水素、リチウム、酸素などの軽元素の情報を知ることができ る 強力なツールです。リチウム電池材料や水素吸蔵材料など、機能性材料・新エネルギー材料の多くは、軽元素を含んでおり、その軽元素が重要な役割を果たして います。従って、このような機能性材料の結晶構造を解析するためには中性子回折は必須のツールの一つとなっています。  本部門では、茨城県が J- PARCに設置した、中性子回折装置(茨城県材料構造解析装置iMATERIA)の維持・管理・高度化、加えて、利用者支援も担当しています。さらに、iMATERIAを利用した高機能性材料の機能と結晶構造との関係を明らかにする研究を行っており、この研究を発展させることで、低環境負荷社会-向けた取 り組みを進めて行きたいと考えています。

 石垣 徹(装置責任者)

 

 

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中性子で観測された水素原子

結晶中の乱れ[イオン導電体]

 結晶からの回折パターンに現れる散漫散乱強度から、原子配列の乱れ(拡散イオン分布の短距離秩序度)と熱振動により引き起こされる原子位置の乱れ(原子熱振 動における相関効果)を導出する。これらから力走数の距離依存性を決定し、格子振動の分散効果を見積もる手法を確立する。中性子準弾性散乱および中性子非 弾性散乱測定から、拡散イオンの挙動やイオン拡散に伴って現れる格子振動モードの特徴を探る。

茨城県材料構造解析装置[iMATERIA]・・・高能率中性子回折装置

水 素、リチウムなどが塞要な役割を担っている上述のような材料の結晶構造を調べるためには、中性子回折が有効である。J-PARCに建設した iMATERIAは、高効率・高分解能の材料構造解析装置である。J-PARCの加速器の出力が最高性能(1MW)を達成すると、国内の従来の、汎用型中 性子回折装置の約100倍の中性子強度の測定が可能となる。この装置の運転・維持・管理、さらなる高度化により、測定の多様性などを図っていくのも、本部 門の大きな役割となっている。装置の利点を生かしていくためには、産業界との連携・共同研究が大変重要となる。

 

 

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茨城県材料構造解析装置「iMATERIA」

水素吸蔵材料

 水素貯蔵材料には、合金系・無機材料系・錯体系が挙げられるが、常温常圧下で水素の吸蔵放出が可能な合金系(希土類 -Ni系超格子合金)に注目し水素吸蔵放出機構を構造の観点から明らかにする。水素吸蔵放出過程の構造の変化を詳細に捉えるためにIn-situ測定(そ の場観察)の確立を目指す。X線回折、中性子回折を併用して材料設計技術を高度化し、水素吸蔵量の大きな材料開発を目指す。

 

 

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希土類-Nl系超格子合金の結晶構造

クラスレートハイドレート[新エネルギー材料]

 クラスレートハイドレートとは、水分子によって作られたカゴ状の構造の中にガス分子等が内包された物質である。海底や永久凍土等に天然ガスハイドレートが埋蔵されていることが知られており、その有効利用が注目されている。このクラスレートハイドレートの結晶構造に着目し、内包されているガス分子の様子を中性子回折で観測することにより、ガスを貯蔵する機能の解明を目指す。

 

 

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メタン分子を内包するカコ状構造

ユニットメンバー

石垣 徹(教授[専任教員]iMATERIA装置責任者) 高機能性酸化物の構造と特性
星川 晃範(准教授[専任教員]) クラスレートハイドレートの構造と物性
吉田 幸彦(助教)
松川 健(助教)
小貫 祐介(助教)
高橋  東之(教授[兼務教員]理工学研究科)
小泉 智(教授[兼務教員]理工学研究科)
佐藤  成男(教授[兼務教員]工学部)
能田 洋平(講師[兼務教員]工学部)
大山 研司(教授[兼務教員]理工学研究科)
中沢 智幸(技術支援職員)
藤井 満之(技術支援職員)
柴田 伸寿(技術支援職員)
軍司 章弘(技術支援職員)